
FXチャートに対し、あなたはどんなイメージをもっているだろうか?
「利益」を出すためのもの、とあなたは考えるだろう。
だが、ここで「違った視点」でFXチャートを見てみよう。
あなたが輸入雑貨店を経営しているとする。
海外から雑貨を仕入れ、日本で販売するビジネスである。
このとき、ドル円が
150円
160円
では、どちらがあなたに有利だろうか。
おそらくあなたは、150円の方が有利だと感じるはずだ。
理由は明確だ。
仕入れが安くなる。
例えば、アメリカから1000ドルの商品を仕入れるとする。
ドル円が150円なら、仕入れは150,000円である。
しかし160円なら、160,000円になる。
* 1000ドル × 150円= 150,000円
1000ドル × 160円= 160,000円
同じ商品なのに、為替が違うだけで10,000円もコストが増えてしまう。
これは、輸入業者にとっては、円高の方がありがたい、ということだ。

では、別の例を考えてみよう。
あなたの友人が、日本の中古車を海外に販売するビジネスをしているとする。
この場合、為替はどうだろうか。
ドル円が
150円
160円
なら、どちらが有利だろうか。
答えは逆である。
円安の方が有利だ。
例えば中古車に1000ドルの価格をつけ、海外に売るとする。
ドル円が150円なら、売上は150,000円。
しかし160円なら、売上は160,000円になる。
* 1000ドル × 150円= 150,000円
1000ドル × 160円= 160,000円
つまり輸出ビジネスでは、円安が追い風になる。

輸入業者・輸出業者はどちらも「1000ドル」でビジネスをしている。
だが、ドルを買う(輸入業者)か、ドルを売る(輸出業者)かで損益はまるで違うものになる。
これは、海外旅行の経験がある人ならだれでも理解できることだろう。
そして、ここまで考えると、FXチャートも少し違って見えてくる。
FXチャートは「利益」を出すためのもの、だけではないということだ。
そこには
・輸入する人
・輸出する人
それぞれの生活やビジネスも関わっている。
輸出入(貿易)はFXチャートやドル円にどのような影響を与えるのか?

そして、この現実の経済活動は、FXチャートにも影響を与えている。
例えばドル円が上昇トレンドにあるとき、日本の輸出企業はどう考えるだろうか。

「今期の業績は円安のおかげで、強気になれそうだ」
そのように輸出企業は考える。
それは個人の中古車ビジネスと変わらない。
つまり、「ドル高円安」の流れでは、企業は「努力」せずにも売上アップが期待できる。

逆にドル円が下落トレンドにあるとき、輸入企業はこう考えるかもしれない。
「今は円高だ。仕入れコストはもっと下がるだろう」
それは個人の輸入雑貨と変わらない。
つまり、「ドル安円高」の流れでは、企業は「努力」せずにも経費削減が期待できる。

このように、輸出入という現実のビジネスは、為替市場に影響を与えているわけだ。
その意味で、このような「実際の需要」に基づく相場の流れは「実需」と呼ばれる。

でも、不思議に思わないだろうか?
経済が、輸出入によって大きく動いていることは今の話しの流れで明らかだ。
そして、今の日本は輸入超過だ。

であれば、「もっと下落トレンドが進んでもよいのでは?」と感じないだろうか?
輸入金額が輸出金額よりも多ければ「ドル安円高」が進むと考えてもおかしくはないだろう。
でも、実際にはドル円チャートの下落トレンドは一辺倒ではない。
かならずどこかで止まる。
なぜ止まるのだろう?

FX市場には輸出企業・輸入企業・投資家など目的の違うプレーヤーがいる

その理由は、為替市場には別のプレーヤーもいるからだ。
例えばヘッジファンドや投資ファンドである。
彼らの目的は、輸出や輸入ではない。
利益を出すことである。
そのため、ドル円が安値圏にあっても、
「ここから反発するだろう」
と判断すれば、買いを入れるかもしれない。
その場合、ドル円相場は「下げ止まる」可能性が強くなる。
話は、ドル円が上昇トレンドの時にある時も同じだ。
輸出企業にとっては「おいしい」状況だ。
だが、ヘッジファンドが、そろそろ「反落」するかもしれない、と判断し、売りを入れる。
その場合、ドル円は「上げ止まる」可能性が高くなる。
つまり為替市場には、
・輸出企業
・輸入企業
・投資家
・ヘッジファンド
そして、我々のような、個人トレーダー・投資家など、さまざまな立場の人が参加している。

よって、FXチャートの動きは「一方向」ではない。
FXチャートは時には「トレンド」にもなり、時には「レンジ」にもなる。
FXチャートは「社会現象」である:人の心理が為替を動かす

このように、FXチャートは単純ではない。
チャートとは、
多様な目的と意思を持った人たちが作る社会現象
なのだ。
一本のローソク足の裏側には、
誰かのビジネスがあり、
誰かの利益追求があり、
誰かの判断がある。
チャートとは、線ではない。
人間の意思が重なった結果なのだ。
このように相場を見ると、トレードの見え方も変わってくる。
多くの人は、チャートを見るとき
「自分は買うべきか、売るべきか」
ということだけを考えてしまう。
しかし、本来は
「いま誰が買っているのか」
「いま誰が売っているのか」
という視点も大切なのだ。
この視点を持つと、思考にも幅が出てくる。
自分の気持ちだけではなく、相手や周りの気持ちも想像するようになる。
これはトレードだけの話ではない。
社会を見るときにも、同じことが言える。
物事は一つの視点だけで動いているわけではない。
複数の立場、複数の目的、複数の意思が重なり合って社会は動いている。
そしてこの視点こそが、トレードにおいて重要な
俯瞰力
を育ててくれる。
この視点を持つことで、チャートの見え方は大きく変わる。
リベラルアーツFXでは、
テクニックだけではなく、
・相場を俯瞰する思考力
・市場参加者の心理の理解
・社会と経済のつながり
といった視点から、FXを学んでいく。
もしあなたが
「チャートの裏側にある心理を理解したい」
そう感じているなら、一度セミナーでその考え方に触れてみてほしい。
相場を見る視点が、きっと変わるはずである。
この記事の内容をさらに深堀したい人には、以下の記事を参考にしてほしい。

