「FX」と聞くと、多くの人は“手法”を思い浮かべる。

いつエントリーし、どこで利確し、どこで損切るか――。

勝つためのやり方、いわゆる“テクニック”に多くの時間が費やされている。

かつての自分も、まさにその一人だった。
だが本当に大切だったのは、「やり方」ではなく「考え方」だった。

これは、2013年に自らの人生を一変させた経験とともに、自分がようやく気づいたことである。

技術を磨き、独立したはずだったのに…

自分は2012年、会社を辞めてFXで独立した。

プロに学ぶため、100万円以上を投資し、勝てる型を手に入れたと信じていた。

確かに、その時点で「ある程度の利益」は出せていたし、会社から帰宅後、毎日2~3時間チャートに張りつく生活は、それなりの充実感もあった。

だが、独立して「専業」になった瞬間、相場はまったく違う顔を見せてきた。

「今月はいくら稼がなければならない」
「生活費はどうする」

そんな焦りが、チャートを見る視点をどんどん歪ませていった。

気づけば、日足でのトレードからスキャルピングへ。
どんどん短期足に執着し、目先の損益に一喜一憂する日々。

勝てるはずの手法で、なぜか勝てない。

次第に「このやり方が悪いのでは」と考えるようになり、気づけば、手法を漁る“聖杯探し”の迷路に入り込んでいた.

“死”を意識した時、初めて“生き方”が見えた

そんな矢先、2013年。

健康診断で「腫瘍の疑い」が見つかり、医師からは「初期のガンの可能性がある」と告げられた。

それまで自分は、「どう生きるか」ばかりを考えていた。

だがこの時、初めて「死」というものが現実として目の前に立ち現れた

幸いにも検査の結果は良性だったが、入院中に読んだ1冊の本――

それが、『ゾーン ― 相場心理学入門』である。

この本との出会いは衝撃だった。

「相場で稼げないのは、テクニックの問題ではない」
「自分の中に原因がある」と気づかされた。

「相場に責任を押しつける」ことをやめた瞬間、すべてが変わった

自分はそれまで、心のどこかで「相場が悪い」と考えていた。

「もっといい手法があれば」
「環境認識さえ合っていれば」

そう言い訳しながら、何度もチャートを見返していた。

だが、『ゾーン』は、そうした考えを根底から否定した。

「自分の判断と結果に100%責任を持つ」
「損失を受け入れる覚悟がない限り、トレードで勝つことはできない」

この一節が、自分の中で何かを変えた。

損失を「外」に原因を探すのではなく、「自分の内側」の問題と認めたとき、自分はチャートを監視することをやめた。

恐怖が、薄れていった。
焦りも、消えていった。

手法は「何でもよかった」。必要だったのは、心の整え方だった


退院後の自分は、すべてのテクニカル教材を処分した。

複雑なやり方ではなく、「自分に合ったシンプルな戦略」と「安定した心」を大事にしようと決めた。

手法は、日足と4時間足のトレンドフォローに絞った。
目標は「月間」ではなく「年間利益」に切り替えた。

その代わりに、脳科学や心理学、瞑想、感情の扱い方など“自分自身との向き合い方”を学び直した。

驚いたことに、チャートを見る時間は1日たったの30分になった。

それでも利益は安定し、何より「相場に振り回されない自分」がそこにいた。

大人がFXで学ぶべきは、「考え方」と「生き方」だ

40代、50代――
多くの人が「これからどう生きていくか」に不安を抱いている。

確かに、若い頃のように時間も体力もない。
だが、大人には「思考を磨く力」がある。

FXは「お金を増やす手段」ではない。
それ以上に、「自分の在り方」と向き合う学びの場なのである。

“手法”を追いかけ続けていた自分は、結果的に、自分の「弱さ」と向き合うことを避けていた。

だが、その弱さを認めた時、FXは私に、「心のあり方」が人生を変えることを教えてくれた。

FXの学びは、やり方ではなく、考え方――。
今、この言葉に、自分は迷いなく頷ける。


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